2024年に中央大学が発行した「大学概要2024」で,中央大学は今ある理工学部を3つの理系学部「基幹理工学部」「社会理工学部」「先進理工学部」に改組する構想を進めていることを明らかにした.
学科はそのまま理工学部を改組
中央大学が発表した資料によると,今ある理工学部を以下の3学部に改組する構想があるとのこと.発表の資料では現在理工学部に設置されている学科を3つの学部に振り分けるのみで,新たな学科の新設や統廃合は無いとみられる.中央大学の英語版公式サイトでは,2026年4月に改組を行うと発表されている.
- 基幹理工学部
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- 数学科
- 物理学科
- 応用化学科
- 生命科学科
- 社会理工学部
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- 都市環境学科
- ビジネスデータサイエンス学科
- 人間総合理工学科
- 先進理工学部
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- 精密機械工学科
- 電気電子情報通信工学科
- 情報工学科
画像引用:中央大学 大学概要2024
改組理由として,同大学は「高度な能力を持った付加価値の高い理工系人材を求めている社会の要請に応える」ためであるとし,「各学部の教育研究上の特色に応じて養成する人材像を明確にし,独自のカリキュラムを策定・実践することによって、加速度的に変化する社会において次々と顕在化する多様で複雑な諸問題に対し、それぞれの分野での専門性を発揮して適切に対応し、解決策を提案し、かつ実行する力を備えた人材を輩出」するとしている.
なお,改組後のそれぞれの学部名称について,Chu-Pick!調べでは「基幹理工学部」「先進理工学部」という名称の学部を設置している大学は全国で早稲田大学のみであり,「社会理工学部」という名称の学部を設置している大学は今のところ無い(ただし東京工業大学に社会理工学研究科は設置されている).
理工学部再編の狙い
中央大学からの発表はまだ情報が少ないため確たることは不明であるが,このタイミングで理工学部を再編する構想を公表したのには在学生目線でいくつか考えられる節がある.
理系需要が高まっている
近年理系の需要が高まりつつあり,国が理系学部の改組・新設を支援していることもあって各大学の理系学部の競争がますます激しくなるであろうと考えられる.その中で,より専門性を帯びた学部名称を振り分けることで受験生に対して学部のイメージを掴みやすくする狙いがあるのではないかと考えられる.
理系学部の存在感を強める
中央大学理工学部は学部生だけで1学年1,000人ほど,4学年合わせると4,000人以上が在籍しており,学科も10個擁するマンモス学部である.それに加え立地は後楽園と全国の理系学部では最強クラスの好立地,また中大理工は私学理系学部で最も早く博士課程の設置を認可されるなど実績も他学部と比べて見劣りしない.にも関わらず,現状では1つの「理工学部」として括られており,学部だけで見れば文系学部7個と理系学部1個,即ち文系主体の大学で,理系は「オマケ」,とみられてしまいかねない状況にある.今回の改組が実際に行われた暁には,理系学部の存在感がより増すのではないかと考えられる.
中央大学の将来像
今回の改組と2027年度に新設される学部を合わせると,中央大学の学部ラインナップは以下のようになる見込みである.
- 法学部
- 経済学部
- 商学部
- 基幹理工学部(改組)
- 社会理工学部(改組)
- 先進理工学部(改組)
- 文学部
- 総合政策学部
- 国際経営学部
- 国際情報学部
- 農業情報学部(新設)
- 健康スポーツ科学部(新設)
つまり,将来的に中央大学は上記計12学部を擁する大学になる可能性があり,現在の8学部の中央大学とは見違える学部構成になることであろう.
まとめ
先述の通り,中央大学理工学部は今後大きく進化を遂げる可能性を秘めており,今後の大学からの発表に期待したい.続報等があれば,随時本Webサイトでも取り上げる予定である.